夫の海外赴任に帯同し、慣れない土地での生活のセットアップ、子どもの学校サポート…と、目まぐるしい日々を過ごす中で、ふと我に返る瞬間がありませんか。
「私のキャリア、この先どうなるんだろう?」
「社会から取り残されたような気がする…」
「せっかくフランスにいるのだから、何か新しいことに挑戦したい」
「駐在妻」という立場は、決して楽なものではありません。キャリアを中断し、見知らぬ土地で家族を支える。その大きな貢献の陰で、自身のアイデンティティや将来への不安を抱える方は少なくないのです。
しかし、フランスでの生活は、キャリアの「中断」ではなく、新しい可能性を見つける「転機」になり得ます。この記事では、フランスであなたらしいキャリアや生き方を見つけるための、具体的な選択肢と実践的なステップをご紹介します。
まずは現実を知る:ビザと言葉の壁
フランスで「働く」ことを考えたとき、最初に立ちはだかるのが「就労ビザ」と「言語」の壁です。
滞在許可証の確認が第一歩
多くの場合、駐在員の配偶者は「Visiteur(訪問者)」または「Vie privée et familiale(私生活・家族生活)」の滞在許可証で滞在しています。「Visiteur」は原則として就労が認められていません。一方、「Vie privée et familiale」は就労が可能です。ご自身の滞在許可証の種類と就労の可否を、まずは正確に確認しましょう。
たとえ就労可能なビザを持っていても、現地の企業で働くにはビジネスレベルのフランス語力が求められるのが現実です。しかし、悲観する必要はありません。これらの制約があるからこそ、見えてくる新しい働き方があります。
フランスで見つける「新しい働き方」4つの選択肢
フランスでの生活を活かしながら、自分のペースで始められる働き方をご紹介します。
1. リモートワーク・フリーランス:日本の経験を活かす
もし日本で続けていた仕事がリモートで可能なら、会社に交渉してみる価値はあります。また、これまでのキャリアで培ったスキル(デザイン、ライティング、翻訳、マーケティング、ITなど)を活かし、フリーランスとして日本のクライアントから仕事を受注する方法もあります。時差をうまく利用すれば、日本の就業時間外に作業を進めることも可能です。 始め方:
- 日本のクラウドソーシングサイト(Lancers, CrowdWorksなど)に登録する。
- これまでの人脈を活かし、業務委託の仕事を探す。
2. ブログ・SNS発信:暮らしそのものをコンテンツに
あなたが日々奮闘しているフランスでの生活そのものが、多くの人にとって価値ある情報になります。子育て、グルメ、旅行、現地での手続きの苦労話など、リアルな体験を発信することで、収益化(アフィリエイト、広告収入など)に繋がる可能性があります。文章を書くことや、写真・動画を撮ることが好きな方におすすめです。 始め方:
- WordPressで自分のブログサイトを立ち上げる。
- InstagramやYouTubeで、特定のテーマに絞って発信を始める。
3. オンラインアシスタント・秘書:サポートスキルを活かす
日本のスタートアップ企業や個人事業主を、オンラインでサポートする仕事です。スケジュール管理、メール対応、資料作成、リサーチ業務など、これまでの事務経験や秘書経験を存分に活かせます。完全在宅で、柔軟な働き方がしやすいのが魅力です。 始め方:
- オンラインアシスタントのマッチングプラットフォーム(フジ子さん, CASTER BIZなど)に登録する。
- SNSなどで自身のスキルを発信し、直接契約を探す。
4. 日本の文化やスキルを教える:自分の「得意」を仕事に
フランスには日本文化に興味を持つ人が多くいます。日本語を教える、書道や茶道、料理を教えるなど、あなたの「得意」が仕事になる可能性があります。現地のフランス人や、他の国からの駐在員を対象に、自宅やオンラインで教室を開くのも一つの方法です。 始め方:
- 地域のコミュニティセンターやSNSで生徒を募集する。
- 語学交換アプリなどで日本語を教える経験を積む。
今すぐ始められる!未来への自己投資3つのアイデア
すぐに収入に繋がらなくても、帰国後やこれからのキャリアのために、今だからこそできる自己投資があります。
1. 語学力の徹底強化
せっかくフランスにいるのですから、フランス語を学ぶ絶好の機会です。日常会話レベルから一歩進んで、DELF/DALFといった資格取得を目指すのも良いでしょう。語学力は、フランスでの生活を豊かにするだけでなく、帰国後のキャリアにおいても大きな武器になります。
2. オンラインでの学び・資格取得
日本や世界のオンライン講座(Coursera, Udemy, 日本の通信大学など)を活用すれば、フランスにいながら専門知識を深めたり、新しいスキルを習得したりできます。興味のある分野の勉強は、知的好奇心を満たし、社会との繋がりを感じさせてくれます。
3. ボランティアやアソシエーションへの参加
子どもの学校や、地域のNPO(アソシエーション)活動にボランティアとして参加するのも、社会との繋がりを作る素晴らしい方法です。語学力の実践の場にもなり、現地での新しい人脈が生まれるきっかけにもなります。
まとめ:あなただけの「フランス時間」をデザインしよう
駐在帯同期間は、キャリアのブランクではありません。これまでの生き方を見つめ直し、新しい自分を発見するための、貴重な「自分時間」です。
焦る必要はありません。まずは、自分が何に興味があり、どんな時に喜びを感じるのか、自分の心に問いかけることから始めてみましょう。
フランスでの経験は、語学力だけでなく、異文化への適応力、問題解決能力、そして何よりタフな精神力をあなたに与えてくれます。それらはすべて、これからの人生を支えるかけがえのない財産です。
「駐在妻」という枠にとらわれず、あなただけの素晴らしい「フランス時間」をデザインしてください。
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