【リオデジャネイロ旅行記 第1回】

坂の途中で世界が裏返る──ファベーラで見た“生”の色彩と、旅がくれる心のアップデート

「旅は “想定外” がバズる瞬間だ」──そんな流行語めいた台詞が脳内にこだました日、私はリオの急斜面に立っていた。

こんにちは。ブラジル・リオデジャネイロで駐在生活を送っていた間に体験した、とある“迷子事件”を語ります。ポルトガル語は “obrigado” レベルで止まっている私が、景色最強のレストランを探していたら、気づけばファベーラ(favela)のど真ん中──まさに “やばたにえん” 状態。

この記事は約10,000文字。リオを知らないあなたにも臨場感が伝わるよう、音・匂い・温度まで描写します。エモさと笑いを行き来する心のジェットコースター、ご乗車あれ。

目次(リオデジャネイロ旅行記)

  1. 駐在生活のスタートアップ:リオというカオス・シティ
  2. 週末の計画崩壊フラグ──「絶景レストラン行くしか!」
  3. Google先生がポンコツ化する瞬間
  4. “Lost in favela”──リアル迷子チャレンジ
  5. 五感フルスロットル:路地裏カルチャーの濃度
  6. ココナッツ1杯の優しさと、偏見の融解
  7. 恐怖→感動→学び──感情フルコンボ達成
  8. シャワーと内省──自分アップデートのプログレスバー
  9. 旅が与える3つのブースト(備忘録)
  10. エピローグ:地図にない景色を求めて

目次

1. 駐在生活のスタートアップ:リオというカオス・シティ

南半球の太陽はギラつきが桁違い。駐在初日、空港を出た瞬間にむわっとした湿気が身体をラップのように包み込み、あまりの暑さに「秒で溶ける」とツイートしそうになった。

街はビーチリゾート感満載のイパネマ、歴史の香り漂うセントロ、そして背後にそびえる森と岩山。そこに、カラフルな家々が折り重なるファベーラが点在する。光と影、富裕と貧困、サンバとサイレン。相反するものがガチ勢で共存し、常にテンションMAXの都市──それがリオ。

毎朝通勤する道すがら、ビーチ沿いをランニングする人々の脇を軍隊の装甲車が通過する。平和か緊張か判断に迷うこのギャップが、早くも私の感覚をアップデートしていった。


2. 週末の計画崩壊フラグ──「絶景レストラン行くしか!」

長めのウィークデイを終えた金曜の夜、同僚が「山の上にあるレストラン、マジ神景色」と激推ししてきた。レビューは★4.8、写真はまるで映画のワンシーン。これは“バズり確定”と判断し、土曜のランチに即決。

当日、Uberの車内でノリノリのファンキ・カリオカを聴きながら坂をぐんぐん上り、運転手が中腹で停車。「あとは5分歩けば着くよ。Boa sorte!(幸運を!)」と軽快に見送られる。

グッドラック=自己責任フラグ。


3. Google先生がポンコツ化する瞬間

真夏の陽射しに負けないテンションで歩き出すが、道はどんどん細くなる。グラフィティで彩られた壁、むき出しの電線、響く打楽器のリズム。スマホ画面は「目的地に到着しました」とドヤ顔。

いやいや、ここ民家しかないやん! と突っ込みを入れた瞬間、周囲の視線が集まる。裸足の子どもが石蹴りをやめてこちらをじっと見る。その瞳は好奇心50%、警戒心50%といったところ。

ワンチャン引き返す? でも坂道を延々下るのはしんどい。葛藤していると、前方から若者グループが現れた。


4. “Lost in favela”──リアル迷子チャレンジ

若者A: “Turista? Você tá perdido?(観光?迷子?)”
私: “Ano… restaurant?”
若者B: “Não tem restaurante aqui, mano.(ここにレストランはないよ)”

彼らは笑いながら「付いてこい」とジェスチャー。ほんのりビビりつつも賭けに出た。坂を下りながら、ボロサッカーボールを蹴り合い、スマホでTikTokを流し、「昨日の試合ガチ泣けたわ」とポ語で盛り上がる彼ら。空気は意外と和やかだ。

途中、家の外壁に描かれた巨大なマラカナン・スタジアムの壁画を指さし、彼らが「ここで来年アートフェスやるんだ」と誇らしげに語る姿がエモい。

映えの裏に、コミュニティの誇りと未来への布石がある。


5. 五感フルスロットル:路地裏カルチャーの濃度

  • :スピーカーから爆音で流れるレゲトン&ファンキ。ドラム缶を叩く即席バンドのリズムが底から響く。
  • 匂い:フライパンで揚げるパステウの油、漂うコーヒー豆の香ばしさ、暑さで蒸れた土の匂い。
  • :ペンキがはげた壁を覆うグラフィティ、洗濯物の虹、空の蒼さ、正午の太陽の白。
  • 温度:体感40度。汗が流れ、皮膚がヒリつく。

この瞬間、カメラに収まらない情報量が脳に直接流れ込み、頭内スクリーンが4K化。言葉を失い「ヤバい…」と口走ると、若者は「Pois é!(だろ?)」とニヤリ。


6. ココナッツ1杯の優しさと、偏見の融解

屋台のおばちゃんが「Água de coco, geladinha!(冷たいココナッツウォーター!)」と声を上げる。財布を取り出そうとすると、先ほどの若者が「オレのおごり」と手を制す。ストローを差し、ゴクリと飲む。

冷たさと甘さが喉を駆け抜け、全細胞が「生き返った」と歓喜。思わず “É bom demais!(うますぎ!)” と叫ぶと、彼らは爆笑し「日本語で“めっちゃヤバい”って何?」と聞く。私は「ガチでヤバい」と教え、即席の語学交換が始まる。

偏見は一口のココナッツで秒で溶ける──この事実、エモい通り越して尊い。


7. 恐怖→感動→学び──感情フルコンボ達成

しばらく歩いて大通りに出ると、彼らは「ここからバスかタクシーで戻れるよ」と教えてくれた。握手を交わす瞬間、心臓がドクンと鳴る。初対面の彼らとここまで打ち解けるとは思わなかった。

別れ際に一人が「また迷ったらDMしてw」とInstagramを交換。スマホ越しに見る彼のタイムラインは、ファベーラの夕焼けや家族の笑顔で溢れていた。

“危ない場所”のステレオタイプは、一度の出会いでアップデートされる。


8. シャワーと内省──自分アップデートのプログレスバー

ホテルに戻り、冷水シャワーを浴びながら反芻する。

  1. 恐怖:未知のエリア、言語の壁、治安不安。
  2. 感動:笑顔、音楽、ココナッツの甘さ。
  3. 学び:偏見は体験で塗り替わる。

プログレスバーは一気に80%まで進んだ気分。残る20%は、まだ見ぬリオの日常が埋めてくれるのだろう。


9. 旅が与える3つのブースト(備忘録)

① 視野の拡張:危険とされる場所にこそ代替不可能な文化がある。
② 感情の解像度向上:恐怖→安心→感謝のグラデーションで心が敏感になる。
③ 言語を超えるコミュ力:語彙ゼロでも笑顔とジェスチャーで“通じ合う体験”は人生のOSアップデート。


10. エピローグ:地図にない景色を求めて

絶景レストランには辿り着けなかった。でも、坂の途中で見た景色と、もらったココナッツの味は、一生分の“映え”を超えた濃度で心に刻まれた。

旅とはルートの脱線。迷うことこそ、人生をバズらせる最大のチャンス。


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この記事を書いた人

実務戦略家 / バナナ戦略担当

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