競争地図(Strategic Group Map)で“ブルーオーシャン”を発見する方法

「競合が多くて差別化の余地が見当たらない」――そんなときに頼れるのが 競争地図(Strategic Group Map) です。
縦軸・横軸を決めて業界プレイヤーを散布図に並べるだけで、価格競争を避けるブルーオーシャン が浮かび上がります。本記事では

  1. フレームワークの概要

  2. 軸の選び方とNG例

  3. BtoC コーヒーチェーン業界の詳細ケーススタディ

  4. 失敗しない 4 ステップ

  5. 30 分ワークフロー

  6. 実例から学ぶ応用ヒント

の順で深掘りし、最後に “次回活用チェックリスト” を添えました。読後 1 時間で、自社用マップまで完成させましょう。


目次

1. 競争地図とは?

  • 定義:業界企業を「顧客が比較する軸 × 企業が操作できる軸」の 2 次元でマッピングし、集積(レッド)と空白(ブルー) を可視化する手法。

  • メリット

    1. 戦略の重複や過密領域を一目で把握

    2. ブルーオーシャン候補を迅速に発見

    3. 5 フォース分析で得た「競争圧力」の根拠を図式化できる

  • いつ使う?

    • 新規事業のポジショニング

    • リブランディング/ライン拡張の検討

    • M&A・アライアンス先の絞り込み


2. 「良い軸」と「悪い軸」

良い軸(OK) なぜ? 悪い軸(NG) 問題点
価格帯(高↔低) 顧客が最も比較する 社員数 競争力と直接関係しない
サービス深度(基本↔プレミアム) 価値提案を示す ロゴ色 意思決定に影響しない
オンライン比率(EC%) チャネル差別化に直結 創業年 古い = 強い とは限らない

Tip: 1 つは 定量データ(価格・比率など)、もう 1 つは 付加価値系 にすると議論が深まりやすい。


3. ケーススタディ:コーヒーチェーン市場

サードウェーブ系カフェの店内
▲ “店舗体験価値” は照明・音楽・内装テーマなど定性的要素も含めて評価(Photo: Unsplash)

3.1 軸設定
縦軸:平均客単価(円)

横軸:店舗体験スコア(1=必要最低限〜5=没入型体験)

3.2 マッピング結果(例)
ポジション 実在・想定ブランド 示唆
右上(高単価×高体験) サードウェーブ系ロースター コーヒー通・SNS 映え需要を独占
左上(低単価×高体験) 地方大型カフェ 長時間滞在・学習需要を拾う
右下(高単価×低体験) 高級ホテルラウンジ 観光客・特別利用で成立
左下(低単価×低体験) 空白 ドライブスルー専用 × アプリ決済で参入余地

Insight:低価格×低体験でも 時間短縮価値 を加えればブルーオーシャンになり得る。

4. 失敗しない 4 ステップ
業界スコープを定義 ― 補完財・代替財を含める範囲を明確に

軸案を 6 つ出す ― 顧客視点(価格・利便性)と企業視点(コスト構造・技術力)をミックス

投票で 2 軸に絞る ― 影響度 × 操作可能性 × 測定容易性の三軸で評価

空白/密集を議論 ― 密集領域=差別化深化、空白領域=参入可否をシミュレーション

5. 30 分ワークフロー

ホワイトボードで競争地図を作成するビジネスチーム
▲ 付箋とペンだけで作れるためオンラインでもオフラインでも実践可能(Photo: Unsplash)

時間 行動 成果物
10 分 軸候補ブレスト 6〜8 個の軸リスト
5 分 投票 + 2 軸決定 評価マトリクス
10 分 プレイヤー配置 マッピング図
5 分 空白分析 + 施策決定 アクションメモ 3 点

6. 応用ヒント
バブルサイズを市場シェアにする と「規模は大きいが競争薄い」領域が見える。

2 年ごとに 同じ軸で更新 し、移動ベクトルを描くと競合の戦略意図が読める。

5 フォース分析結果 をマップ色分け(圧力強=赤)すると「圧力が低い空白」が明確に。

7. よくある落とし穴
軸を毎回変更 → 過去比較が不能。最低 1 年は固定。

主観スコアだけ → 片方は必ず定量指標に。

空白=必ずチャンス → 代替財や規制で成立しない場合も。必ず調査を。

8. 次回活用チェックリスト
軸候補を 6 つ以上出したか

「顧客が比較する軸」と「企業が操作できる軸」を両立させたか

空白領域の参入障壁・市場規模を検証したか

密集領域の差別化策を立案したか

次回は 「競争地図×5 フォース統合で導くポジション戦略」 を解説します。お楽しみに!

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この記事を書いた人

実務戦略家 / バナナ戦略担当

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