ポーターの 5 フォースで競争圧力を丸裸にする完全ガイド

競合の動きが激しい業界で「何が勝敗を分けるのか」を判断するには、ポーターの5フォース分析が欠かせません。本記事では ① 5つの競争圧力の意味 ② 実践ステップ ③ SaaS 業界の事例 ④ よくある落とし穴 を詳しく解説します。

この記事のゴール
・自社を取り巻く5つの圧力を定量的に評価できる
・競争優位を高める着眼点がわかる
・30分で完成するシートが作れる

目次

1. 5フォースとは何か?

  • 既存競合の敵対関係:価格・広告・機能での消耗戦度合い
  • 新規参入の脅威:参入障壁の高さ、規制の有無
  • 代替品の脅威:顧客が乗り換えるコストと魅力
  • 売り手(供給業者)の交渉力:原材料・技術ライセンスの集中度
  • 買い手(顧客)の交渉力:顧客集中度、情報量、スイッチ容易性

2. 5ステップで作る分析シート

  1. 業界定義 … 製品範囲・地域・顧客群を明確化
  2. 情報収集 … 市場データ、年次報告書、ニュースを整理
  3. 各フォースを評価 … 低▲/中▲▲/高▲▲▲ の3段階でスコア
  4. 全体圧力を可視化 … レーダーチャートやヒートマップへ反映
  5. 戦略示唆を抽出 … 圧力が弱い/強い領域に打ち手を割り当て

3. 評価テンプレート(サンプル)

フォース 主な指標 自社スコア コメント
既存競合 シェア上位3社の合計比率 ▲▲ シェア集中が高く価格競争が激しい
新規参入 初期投資額、規制有無 特許と規制で参入障壁は高め
代替品 代替技術の機能差 ▲▲▲ 無料アプリが台頭し脅威大
供給業者 主要サプライヤー数 APIプロバイダーが多く交渉力は低
買い手 顧客集中度、解約率 ▲▲ プラットフォーム寡占で価格圧力やや高

4. SaaS(BtoB CRM)業界での応用例

BtoB CRM SaaS は参入障壁が比較的低いため「新規参入」と「代替品」の圧力が特に高い。一方、API 連携の標準化が進んだことで「供給業者」の交渉力は低下。したがって機能差別化よりもスイッチングコストを上げるエコシステム構築が最重要という示唆が得られます。

5. 深堀りに使える質問リスト

  • 3年後に最大シェアを握る可能性のある新規参入企業は?
  • 顧客が自社製品を「不要」と判断するきっかけは?
  • 主要サプライヤーを失った場合、代替ルートは何か?
  • 価格以外で買い手が比較する評価軸は?

6. よくある落とし穴

  • 業界定義が広すぎる … ターゲット市場を狭めて再評価
  • スコアの根拠が主観 … 数値指標や第三者データで裏付け
  • 分析だけで終わる … 各フォースに結びつく施策を必ず立案

7. 30分で終わるワークフロー

  1. 5分 … 業界定義と目的を再確認
  2. 15分 … 5フォース表をチームで埋める
  3. 5分 … スコア化しヒートマップを描く
  4. 5分 … 圧力が高い2領域・低い1領域へ施策を割り当て

8. 次回予告

Industry & Rivalry モジュールの2本目は「競争地図(Strategic Group Map)」。本記事で分かった圧力の源を「市場ポジション×価格軸」で可視化し、ブルーオーシャンを探します。

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この記事を書いた人

実務戦略家 / バナナ戦略担当

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