PESTEL で抽出した“不確実要素”を、どう意思決定に落とし込むか――その答えがシナリオプランニングです。本記事では「ドライバー選定 → 2×2 マトリクス作成 → 行動指針策定」までの流れを解説します。
この記事で得られること
・シナリオプランニングの目的と効果
・2×2 マトリクスの作り方(テンプレ付き)
・実務で役立つ議論のコツ
目次
1. シナリオプランニングとは?
未来を単一予測ではなく、複数シナリオとして描き、どの世界が来ても打ち手を持てるようにする戦略思考法です。ロイヤル・ダッチ・シェルが 1970 年代のオイルショックを生き残った事例で有名。
2. 基本3ステップ
- ドライバー抽出 … PESTEL などで“不確実で影響大”の要素を3〜5個選ぶ
- 重要度 × 不確実性マッピング … 最上位2つを X・Y 軸にして 2×2 マトリクス
- シナリオ作成 & 行動指針 … 各象限にストーリーを付け、対応策を箇条書き
3. 2×2 マトリクスのテンプレ
ドライバーB:高 | ドライバーB:低 | |
---|---|---|
ドライバーA:高 | シナリオ1 キーワード / 機会 / リスク |
シナリオ2 キーワード / 機会 / リスク |
ドライバーA:低 | シナリオ3 キーワード / 機会 / リスク |
シナリオ4 キーワード / 機会 / リスク |
4. ケース:フィットネスアプリ × 為替変動 × AI規制
- ドライバーA(為替) … 円安 vs 円高
- ドライバーB(AI規制) … 厳格 vs 緩和
この2軸で描くと——
AI規制:厳格 | AI規制:緩和 | |
---|---|---|
円安 | 海外課金好調だがアルゴ制限 → 欧州B2B連携強化 | 円ベース売上縮小、AI活用自由度↑ → 海外データ活用でLTV向上 |
円高 | 国内課金伸長、規制で開発コスト↑ → 機能絞りUX重視 | 海外・国内とも価格競争激化 → AIコーチ機能で差別化 |
5. 議論を深める3つのコツ
- タグライン … 各シナリオに短いキャッチコピーを付けると記憶に残る
- 定量仮説 … 売上・コストなど数字を置いてリアリティを出す
- 逆張り視点 … 楽観/悲観どちらかに偏ったら反対側を意識的に考える
6. よくある落とし穴
- ドライバーが多すぎる … 影響大×不確実大 の2軸に絞る
- 4象限が似通う … ドライバーの選定をやり直すサイン
- 行動指針が抽象的 … 次会議ですぐ決められるレベルまで具体化
7. 次回予告
Macro Scan モジュールの総仕上げとして、シナリオごとに KPI を設計し“測れる未来予測”にするテクニックを紹介します。
コメント